ひどい頭痛がする…。風邪でもひいたんだろうか…?
ブルーは身じろぎしようとして、ふと誰かの話し声が聞こえるのに動作を止めた。
「陛下…! あのものを生かしておいては、<グランド・マザー>がお怒りになりますぞ! いえ、それ以前に『神』のお怒りを買うと宣言されたのではないですか…!」
「ええい、うるさい! 貴様は黙っとれ!」
その声の主を思い出して…どきりとした。
アドス王と、ジョミーの別邸から自分をここへ連れてきた男だ。次に、その話の内容にぞっとした。
夢であってほしい。そう思っていたあの出来事は現実だったのだ。ただ…どういうわけか、死んではいないようだったのだが。
ブルーはそっと薄眼を開けてまわりを伺った。最初に連れてこられたあの部屋に戻っているらしい。天幕つきのベッドの薄いカーテンは下ろされ、話をしているふたりのシルエットが見えた。そして。
「…!!」
視線をさまよわせた目に映った己の姿に…再びぎゅっと目をつむった。
一糸まとわぬ白い身体がベッドの上にそのまま寝かされている。加えて、手は頭上でひとつにされて枷をつけられ、やはり鎖で固定されていた。足には拘束はないが、これでは逃げることもできない。
「あれはわしのものだ。殺すなどもったいない…!」
「ですが…」
「ええい、うるさい! 貴様のような卑しい男が、わしに意見する気か!」
「そ…っ、そのようなつもりは決して…!」
男の狼狽ぶりが面白かったのか、王はふんと鼻を鳴らしてせせら笑った。
「いかに<グランド・マザー>だとて、分かるものか。死体は山中深くに埋めたといっておけばよいのだ。<グランド・マザー>だけではない、あの若造が探りを入れてきたらそう思わせろ。死んだと思えばあきらめる」
「は…はあ…」
そんな会話がすぐそばで交わされている。
では…ジョミーは僕のことを死んだと思ってしまう…のか?
…呆然とした。それでは、外部から助けは来ない。ジョミーが…僕のことをどう思っていたとしても、死んだと言われればそれ以上は探さないだろう。もし、ハーレイが探してくれたとしても、おいそれとこの王城に入り込むことなどできまい。
…それなら…ハーレイもいつかはあきらめてしまう。じゃあ…僕は…。
あまりの状況にただただ途方に暮れていると、何の前触れもなくしゃっとベッドを覆っていたカーテンが開かれた。反射的にびくりと身体が揺れる。
「おや。お目覚めか」
目を閉じているとはいえ、アドス王にはブルーの目が覚めていることなど完全に分かってしまっている。かといって、目を開けて好色そうな目でこの身体を眺めまわしているだろう中年男を見つめ返す気にもならない。
「ひゃ…っ!?」
そう思ってかたくなに目を閉じていたのだが、さわりと尻をなでられるのについ声をあげてしまった。
「白くて美しい肌だ」
笑みを含んだ声に、かっとして目を開けて。アドスの残忍そうな目にぶつかった。
「王…! いかにこの身が罪人の血を受けていようが、こんな辱めを受けることはないはず…!」
「辱めだと…? 貴様はわしの妾になるのだ。これほど栄誉なことはあるまい」
…妾…?
その言葉に、心の中に絶望感が広がるのを感じた。
「『神』の花嫁となったあとも、楽しませてもらおうとは思っていたのだ。あの若造が先に手をつけたというのは業腹だが。しかし」
「や…っ!」
今度はももから尻にかけてゆっくりとなで上げられるのに、びくりと身体が揺れた。けれど、手を縛られているため逃げることができない。
「こんな美しい身体、誰にも渡すものか。貴様は一生わしの慰み者だ。誰も貴様がここにいるなどとは知らないのだからな」
そう宣言されるのに…言葉さえ出なかった。はからずも、自分の考えが裏付けされたようだったが、そんなものなどありがたくも何ともない。
「貴様も肝に銘じておくことだ。わしを満足させられなかったら、貴様は用済みだとな」
それは、とりもなおさず役に立たないとして闇に葬り去られることを意味する。
そんな…! ここで殺されてしまったら…ジョミーに会えなくなってしまう…。
顔色の変わったブルーににやりと笑いかけると、アドスはブルーのあごを掴んだ。
「う…」
「わしを満足させよ。さもなくば…闇の伝道師の言うとおり、貴様を殺す」
すっと身体が冷えるような感覚に陥った。
…選択の余地は…ない。
ブルーはあきらめたように目を伏せて身体から力を抜いた。
「それでよい」
満足そうに言うアドスに、そんなことをするくらいなら死んだほうがマシだといえない自分が悲しかった。
…こんなことのためにこの国へ戻ってきたのか。
この王に弄ばれるためだけに、呼び寄せられたのか…。
それでは、この20年にわたる生はいったい何のために…。
ガラガラ…。
どういう仕組みになっているのか分からないが、自分の手首を固定している鎖が伸びた。壁の中に何らかの仕掛けがしてあるらしいが…。
や…だ…。こんな恥ずかしい姿を見られているのは…。
とりあえず戒められたままの手で胸を隠すように身体を丸める。そんなことに意味などないことはよく分かっていたが…。
このまま、小さくなってしまえたらいいのに…。
必死になって閉ざしている目から、涙がこぼれそうにすらなったというのに。
「なめろ」
低い声で命じられ、目を開けてゆるゆると顔を向けると、アドスの醜塊なものが目に入った。のどがごくり鳴る。
「さっき言ったはずだな。わしを満足させよ」
にやりとするアドスに少しの間ためらったが、拒否する権利はない。ブルーはゆっくりと身体を起こすと、ベッドの横に立つアドスのものを含もうとした。が、どうしても嫌悪感が先に立って口の中に入れることができない。
やっぱり…イヤだ…。
と、そのとき。
「うぐ…っ」
急に髪を掴まれたと思ったら、半開きになっていた口の中に、強引にアドスのものが入ってきた。
「ぐ…ううう…」
十分な固さを持つそれは大きく、のどの奥までつかんばかりに長く、ブルーはむせそうになった。加えて、そんなものを口に含むなど、今まで経験のなかったことだから、戒められた両手でアドスを押しのけそうになって…。それでも理性の力で何とかそれをねじ伏せ、吐きそうになるのをこらえてアドスをほおばった。
「くわえているだけでは、わしは満足せんぞ…?」
しかし、アドスは残忍そうな笑みを浮かべ、ブルーを見下ろす。
…だって…どうすればいいかなんて…。
確かに、口でする方法があることは知っている。けれど…。
…したことないのに…この王を満足させられるかなんて…。
それでも、ブルーは懸命に舌を使った。息が詰まりそうなほど大きなそれを、懸命になめた。
殺されるのはイヤだ。誰にも…ジョミーにも…知られずに死ぬなんて…。
その思いながら、必死になってアドスのものを刺激し続けた。
「ふむ…。初めてにしてはうまいではないか」
上からそんな言葉が降ってきたが、嬉しくもなんともなかった。両手を戒められ、自由を奪われた状態で、口の端から唾液を滴らせてアドスを含んでいる自分の姿を想像するだけで、めまいがしそうだ。
でも…もしかして、口でできたら、あそこには入れられずに済むかも…?
そんなことがちらりと頭をかすめた。だから、がむしゃらにアドスをほおばって舌を使ってしごいた。じゅぷっ、じゅるっという湿った音だけが聞こえている。
「…お、おおお…」
「!?」
吐息交じりの喘ぎが聞こえてきたと思ったら、アドスはブルーの顔を両側からしっかりと固定し、自ら腰を振りはじめた。
「う…っ、ううっ、ぐう…っ」
いやだ、苦しい…っ!
口内に出し入れされる、巨大な杭。あまりの息苦しさブルーはうめいたが、アドスは絶頂が近いのか、激しく腰を振っているだけだった。
「出る…おおお、出るぞぉ!」
やだ…っ!
ひときわ大きくアドスのものが膨らんだ途端。ブルーののどの奥にアドスの穢れた液が叩きつけられた。ブルーは顔をそむけることもできず、その精を飲まざるを得なかった。しかも、その量たるや半端なものではない。延々と放たれる精液の苦さが口いっぱいに広がって、ブルーは形のよい眉をしかめた。
やがて満足したのか、アドスはゆっくりとブルーから己のものを引き抜いた。
「う…ごほっ…けほ…っ」
飲みきれなかった白い液が口の端からこぼれる。あまりの気持ち悪さに吐き気をもよおし、自由にならない手で口元を押さえて咳き込んだ。
「初めてで飲むことができるとは、なかなか素質がある」
…何の素質か、聞きたくもなかった。自由を奪われ、この王の穢れた精を無理やり飲まされ…。ひどく惨めな気分だった。
それでも、ブルーは息を整えて涙を浮かべたままの目でアドスを見上げた。本人は意識もしていないが、扇情的な目だ。
「もう…やめてくれ…」
この男に許しを請おうと思ってこの国に戻った自分が、ひどく滑稽に思えた。贖罪の心を踏みにじられ、自尊心をもずたずたにされ。
だがアドスは酷薄な笑みを浮かべただけだった。
「そうやって精液にまみれた貴様の表情は美しいぞ。何を恥ずかしがることがあるのだ」
言いながら、アドスの手はブルーのつぼみに伸びた。
「ひ…っ!」
腰を引こうとしたが、それよりも早くアドスはブルーの腰をがっちりと固定してしまう。
「今度はここの味見をさせてもらおう。さっきは指でしかしてなかったが、今度はわしのここを満足させてもらうぞ」
その言葉に驚いて目をむけると、いつの間にか再び力をもち、鎌首をもたげているアドス自身があった。
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毎日ちょっとずつ書いてます〜。って、久しぶりの更新がコレか!!どれだけ欲求たまってるんじゃ、私!!
では次、本番、行きま〜す。 |
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