船内が泣き濡れている。
それはそうだ。言ってみれば、太陽が沈み、あたりは真っ暗になったようなものなのだから。しかも、その太陽はもう二度と、戻ってこない。
そして、その太陽を沈めるよう指示したのは…、僕だ。
シールドが切れたときに、斉射をためらわなかったわけじゃない。
でも、ジョミーが決死の思いで開いてくれた『道』だったから。
彼の思いを無駄にすることなど、できなかったから。
だから、撃てと。尻込みする攻撃班にすら、命令だという言葉をつけて。ジョミーが望んだことだ、君たちはジョミーの最後の願いさえ踏みにじる気かと。
「ソルジャー!」
その声に振り返ってみれば、ハーレイが怒ったような表情で立っていた。さて、何か彼を怒らせるようなことをしただろうか…?
少し考えたけれど、思い浮かばない。
「何だ?」
だからそう訊いてみたのだが。
「いい加減にお休みください!あのとき以来、あなたはずっと働き詰めです!」
…何だ、そんなことか。
「ジョミーの穴は埋めなきゃいけないだろう。」
それがジョミーへのせめてもの償い。
「それが、何もあなたでなければならないということはありません!
とにかく休んでください。このままでは倒れます!」
「大丈夫だ。」
「あなたの大丈夫は当てになりません…!
万が一あなたが倒れたら、どうなると思っているのですか!」
その言葉に。
…やはり君のいない穴は大きいと思わざるを得ない。
「…そうだな、代わりになるものはもういないから…。」
そう返されるのに、さすがにハーレイも自分の失言を悟った。
「そ、そういう意味ではありません…!私は純粋にあなたのことが心配で…!」
「分かった。
では、僕は仮眠を取ってこよう。後を頼む。」
「は…、分りました。」
ハーレイがブルーを見送りながら、眉間にしわを寄せているだろうということは想像に難くなかったが、今は自分のことだけで精いっぱいで、そこまで気を回してやれなかった。
ずっと働き続けていたのは、身体を動かして気を紛らわせようとしていたことにほかならない。…ジョミーのことを思い出したくなかったからだ。
皆に、ジョミーの分まで生きて地球へ降りようと言った自分自身が、ジョミーがいないことに耐えられないなどと…。
ソルジャーと呼ばれることがこんなに苦痛だとは、今まで思ったこともなかった。
ジョミーを見殺しにしておいて、『ソルジャー』などと呼ばれる資格は、ない…。
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拍手連載!守護者、ちょっと痛い過去編。原作ではブルーがジョミーを置いて逝っちゃったんだから、許して〜。 |
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